コラム

令和元年航空法改正とは?

「改正航空法」と言うと一般的には平成27年12月に施行されたものを指します。
ドローンが広く使用されるようになり、これまでの航空機に加え無人航空機(200g以上のドローン)を定義し、
その規制の仕組みを作りました。

しかし、その後もドローンをめぐる情勢は常に変化し、改正は続けられています。
今回は最新の 令和元年9月18日改正 について振り返ってみます

その内容は…

1 アルコール等の影響により正常な飛行ができないおそれがある間の飛行禁止

ここに文章を記載する「アルコール」とは、アルコール飲料やアルコールを含む食べ物をいうものとする。アルコールによる身体への影響は、個人の体質やその日の体調により異なるため、体内に保有するアルコールが微量であっても無人航空機の正常な飛行に影響を与えるおそれがある。このため、体内に保有するアルコール濃度の程度にかかわらず体内にアルコールを保有する状態では無人航空機の飛行を行わないこと。

基準値(血中アルコール濃度:0.2g/ℓ以上、呼気中アルコール濃度:0.09mg/ℓ以上)の場合は、正常な運航ができないおそれがあるとして、通達が出されています。すでに航空機の操縦士に対しては呼気検査が実施され、0.01mg/ℓでも検出された場合には再検査されるなど、厳しいチェックが行われています。また、通達では本邦航空運送事業者に対して『飲酒後8時間以内の飛行勤務を禁止』としています。
私の周囲でもアルコールチェッカーを保有している仲間が増えてきました。気をつけていきたい内容です。

2 飛行に必要な準備が整っていることを確認した後の飛行

(1)当該無人航空機の状況について外部点検及び作動点検を行うこと

・各機器(バッテリー、プロペラ、カメラ等)が確実に取り付けられていることの確認
・機体(プロペラ、フレーム等)に損傷や故障がないことの確認
・通信系統、推進系統、電源系統及び自動制御系統が正常に作動することの確認

(2)当該無人航空機を飛行させる空域及びその周囲の状況を確認すること

・飛行経路に航空機や他の無人航空機が飛行していないことの確認
・飛行経路下に第三者がいないことの確認

(3)当該飛行に必要な気象情報を確認すること

・風速が運用限界の範囲内であることの確認
・気温が運用限界の範囲内であることの確認
・降雨量が運用限界の範囲内であることの確認
・十分な視程が確保されていることの確認

(4)燃料の搭載量又はバッテリーの残量を確認すること

十分な燃料又はバッテリーを有していることの確認

これまでも許可や承認や承認を受けた場合には、20時間ごとに機体の点検が必要でしたが、今後は全ての飛行について飛行前の点検が必要となります。また、気象情報についての確認が明記された点は注意が必要です。

3 航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するための方法による飛行

(1)無人航空機を飛行させる者は、無人航空機の飛行経路上及びその周辺の空域において飛行中の航空機を確認し、衝突のおそれがあると認められる場合は、当該無人航空機を地上に降下させることその他適当な方法を講じる こととする。
(2)無人航空機を飛行させる者は、無人航空機の飛行経路上及びその周辺の空域において飛行中の他の無人航空機を確認したときは、他の無人航空機との間に安全な間隔を確保して飛行させること、又は衝突のおそれがあると認められる場合は、無人航空機を地上に降下させることその他適当な方法を講じることとする。

ここで、「回避させること」とは、衝突する可能性のある方向とは別の方向に無人航空機を飛行させることをいい、空中で停止することも含まれ得るとされています。
(人が乗る)航空機と無人航空機では航空機が優先されるということ、無人航空機同士ではお互いに調整ながら安全を確保する必要があるということが決められています。

4 他人に迷惑を及ぼすような方法での飛行禁止

「他人に迷惑を及ぼすような方法」とは、人に向かって無人航空機を急接近させることなどを指すとされています。特にレース機などで速度を出して飛行させる場合には、注意が必要です。

航空法改正が衆議院で可決された後、施行される前に記事として書いたのですが、その内容を施行後の内容として今回更新しました。
記事を書いた時には、国会の議事録を確認したり、国土交通省に問い合わせをしたり、と大変でしたが、
できるだけ早く情報提供できればと思い、記事にしたことを懐かしく思います。

現在は多くの方に認知され、特に「飲酒をしたら操縦しない!」の社会的な意識は定着しつつあるように思います。
また航空法などの法規の改正については、随時情報提供したいと思います。

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