無人航空機(200g以上の重量のあるドローン)を飛行させるときは、航空法の適用を受けない場合は許可や承認を受けることなく飛行させることができます。
しかし、航空法で定めた一定の条件下での飛行をしようとなると事前の許可や承認が必要です。
無人航空機が
(1)航空法第132条に定める「飛行禁止空域」における飛行
(2)航空法第132条の2に定める「飛行の方法」によらない飛行 をする場合
全く具体性がないのでさっぱり分かりませんね。では(1)(2)を具体的に見ていきましょう。
(1)航空法第132条に定める「飛行禁止空域」における飛行
❶無人航空機(ドローン)の飛行により、航空機の安全に飛行の影響を与えるおそれのある空域
➝具体的には空港周辺などを指します
❷人又は家屋が密集している地域の上空
➝人口密度が1㎢あたり4000人以上の地域は一般的にはDID地区と呼ばれます。その上空にあたります。
(2)航空法第132条の2に定める「飛行の方法」によらない飛行
❶夜間飛行
❷目視外飛行
❸第三者の人又は物件から30m以内での飛行
❹催し物(イベント)会場での飛行
❺危険物輸送
❻物件投下
を飛行する時には許可や承認を受ける必要がありますが、今はDIPSというオンラインシステムで簡単に申請ができます。
ただその場合は、飛行速度や補助員の配置、プロペラガードの使用など、
飛行について細かく定めたマニュアルに沿って飛行させる必要があります。
「私は~のマニュアルに沿って安全に飛行させるから、許可承認して!」とお願いするための飛行マニュアルを添付する必要があります。
かつては申請する人が一から独自に作成していたのですが、今は国土交通省が作成した「標準マニュアル」という便利なものがあります。
このマニュアルを使えば、自分でマニュアルを作成する必要が無く、「標準マニュアルを使います!」と宣言をすれば良いのです。
ただ、このマニュアルはどんな人にもあてはまるように書かれているので、とにかく制約が多いです。
一からマニュアルを作成するのも大変ですので、初めての申請はこの標準マニュアルを使用して良いと思いますが、
慣れてきたら自分用に書き換えて変更申請した方が絶対に使いやすいです。
例えば、あるカメラマンの場合を例に挙げます。
その方は学校関係でお仕事をすることが多く、学校行事の写真を撮り、卒業アルバムを制作して販売しています。
写真と同時に動画を撮り、卒業式に利用してもらっています。
ドローンのカメラの映像を見ながら撮影する必要があるので、『目視外飛行』となります。
ちなみに、ドローンのカメラが映し出した映像を見ながら操縦をするのは『目視外飛行』に当たります。
自動車のナビ程度「チラッと」映像を見るのは問題ないですが、カメラの映像を見ながら機体を動かしていく、と完全に『目視外飛行』です。
そうなると、事前の承認が必要となります。
ところがある時、急にある学校から『今度の日曜日に全校生徒が集合する機会があるのでドローンで撮影してほしい』と依頼されました。
『目視外飛行』について申請をしても数日では承認は下りません。
そこで、こういったケースを想定してあらかじめ『目視外飛行』について「場所を特定しない申請=包括申請」をしておきます。
1年間全国どこででも『目視外飛行』ができる申請ができるので、それをしておけば良いのです。
ただここで注意点があります。申請には運用のルールを定めたマニュアルを添付する必要があるのですが、包括申請のために国土交通省が作成した標準マニュアル
を添付してしてしまうと、
マニュアルの中に
「第三者の往来が多い場所や学校、病院等の不特定多数の人が集まる場所の上空やその付近は飛行させない。」
という文言が入っているので、飛行させることはできません、ということになってしまいます。
このように標準マニュアルは制約が多いのです。
こうなってくると標準マニュアルを使用せずに、マニュアルを自分で作成(=自作マニュアル)となってきますが、マニュアルの内容が不足していると、指摘を受けていつまでも許可や承認がされないことになるので、標準マニュアルの文言を修正してできる飛行を少しずつ増やしていくと良いです。
ただし、単純に文言を書き直せば良いという訳ではなく、安全対策について記述しないと、許可承認は下りません。
どのような安全対策を施せば許可承認が下りるのか、というのは私たち撮影業者や行政書士さんの腕の見せ所となります。
ただ、きちんとした安全対策を提示できれば、どんな人に対しても許可承認は下りるので、チャレンジする価値はあります。
ぜひ自作マニュアルに挑戦し、許可や承認を得たマニュアルに沿った飛行をしていきましょう。
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