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「ドローンで初の逮捕者」について考える

ドローンで初の逮捕者が出てしまいました

今回のニュースはドローンを扱い、ドローンの発展を願う者として本当に残念なニュースでした。
まだこれからはっきりとしてくることもあると思いますので、現在の報道をもとにして、どのような問題だったのか、市街地ではどのようなことを考えて飛行させる必要があるのか考えていきましょう。類似の事件を今後防止する、というのがこの記事の目的です。

(1)トランプ来日で警備は厳重

報道によると、逮捕された人は5月26日に江戸川区の船堀スポーツ公園でドローンを飛行させていたとのことです。
ある報道では470gと書かれたドローンを映像資料として使用していました。
航空法違反で逮捕されたということからも200g以上のドローン=無人航空機と想像がつきます(航空法は200g以上の無人航空機が対象)。

折しもトランプ大統領が来日中で、たくさんの警察の方々が全力を挙げて警備をしている中での事件でした。
そのため、小型無人機等飛行禁止法でもトランプ大統領が訪問する予定地は幅広く飛行が禁止されていました。

※小型無人機等飛行禁止法
…航空法とは別の法律。航空法が200g以上のドローンを対象としているのに対し、200g未満のドローンも対象となります。

▷外務省/米国大統領訪日に際しての小型無人機等飛行禁止法による飛行禁止区域の指定

この日のトランプ大統領は、千葉のゴルフ場から夕方の大相撲観戦のため国技館に移動する予定となっていました。
ドローン飛行があった船堀スポーツ公園は、国技館から8km。
小型無人機等飛行禁止法が該当する地域ではありませんでしたが、
警察の方々が厳重な警備をしていた地域だったようです。

したがって、小型無人機等飛行禁止法には抵触していなかったが、航空法に抵触していたということになります。

(2)法律的に何が問題だったのか?

❶飛行する場所の問題

航空法では、人口密集地区では無人航空機の飛行を原則禁止しています。舟堀スポーツ公園が人口密集地区であるかどうかを「地理院地図」で確認したところ、人口密集地区に該当するようです。国土交通大臣の許可を受ければ飛行ができますが、許可なく飛行させてしまったことで法律違反になった可能性があります。
▷地理院地図/船堀スポーツ公園

❷飛行の方法の問題

航空法では、原則日中(日の出から日没まで)で飛行させることになっていますので、夜間飛行は禁止です。国土交通大臣の承認なく夜間に飛行させることで法律違反になってしまいます。
国土交通省/無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール

今回のケースは航空法違反という報道でしたので、この2点のいずれか、もしくは両方の違反により逮捕されたと考えるのが妥当です。

(3)その他にも市街地で飛行させる時の注意点

❶飛行高度の問題

この船堀スポーツ公園は羽田空港の延長進入表面という特別な区域に該当します。簡単に言うと、空港の周辺は飛行機とドローンの衝突を避けるために飛行の高度が制限されているのですが、その制限がかかる区域に該当しているということです。この公園の制限高度は295mでした。通常の高度制限の150mよりもずっと高いので、今回はさほど問題の無いケースでしたが、もっと空港に近かければ制限高度は150mよりも低くなるので注意が必要です。空港周辺は飛行機とドローンの接触という最悪のケースに発展するシリアスな地域ですので、慎重に確認することが求められます。

❷第三者が近づく問題

今回の飛行は夜間だったということでしたが、都内の公園は夜間でも人が通行することがことが多いものです。航空法では「第三者の人または物件から一定以上(30m)の距離を保って飛行させる」と定められています。もし、一人で飛行させていると四方から近づいてくる方に対して気づかなかったり、もし気づいてもドローンの飛行について声をかけることもできなかったりします。気づいたら、すぐ近くに知らない人が歩いていた、ということになりかねません。国土交通大臣に申請して承認を受けておくと、30m以内の飛行ができるようになります。

❸公園管理者がドローンの飛行禁止していないか確認

東京都の都立公園は条例で全面飛行禁止となっていますが、今回の公園は江戸川区の区立公園です。区役所のHPを見ると該当しなさそうなので、今回は公園で飛行させることに問題はなかったようですが、飛行前に念のため区役所などの管理者に確認しておくのが無難です。

❹映像を撮る時の問題

住宅地でドローンを飛行させて映像を撮る時に、夜間では住宅の室内がより映り込みやすいものです。周囲にマンションなどの高い建物がある時には特に注意が必要です。高層階の住人はカーテンなどの目隠しをしていなことがあり、室内が丸写しになる可能性があるからです。
総務省が発行している「無人航空機による撮影・映像等のガイドライン」でも、

高層マンション等に水平にカメラを向けないようにすること

といった具体的な記載が見られます。

今回は、先日の事件から、
・何が問題だったのか
・今回は問題にはならなかったが、市街地の公園で気をつけること
について考えてみました。

弊社では、こういったことに最大の注意を払いながら、お客様や関連の皆様にご迷惑をおかけしないように撮影をしております。

また、ドローン関連の様々なことを皆さんに知っていただくことも本当に大切だと考えております。
このサイトもその一助になればと願っております。

 

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